民泊事業、始めたいけど何から? 旅館業法の基本と注意点

2025年07月30日 19:33

こんにちは。伊原行政書士事務所の伊原です。

「空き家を有効活用したい」「インバウンド需要を取り込みたい」とお考えの方の中には、民泊という言葉に興味をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、民泊と一口に言っても、その運営には法律の知識が不可欠です。今回は、民泊事業を始めるにあたって知っておきたい旅館業法の基本と、見落としがちな注意点について行政書士が解説します。

「民泊」って何? 法律上の位置づけ

一般的に民泊と呼ばれる事業は、以下の3つのいずれかの法律に基づいて行われています。

・旅館業法に基づく簡易宿所
・住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業
・国家戦略特別区域法に基づく特定認定事業

この中で、最も一般的なのが住宅宿泊事業法ですが、今回は、年間営業日数の制限がなく、事業としての自由度が高い旅館業法に基づく簡易宿所を中心に、民泊事業の基本的な考え方と注意点について触れていきます。

なぜ旅館業法? 簡易宿所として民泊を始めるメリット

旅館業法と聞くと、ホテルや旅館をイメージされるかもしれませんが、実は簡易宿所という形態であれば、比較的簡易な施設でも旅館業の許可を取得し、民泊を運営することが可能です。簡易宿所として民泊を始める主なメリットは以下の通りです。

年間営業日数の制限なし
住宅宿泊事業法(民泊新法)では年間180日の営業日数制限がありますが、簡易宿所にはこの制限がありません。
幅広い宿泊形態に対応
個室だけでなく、ドミトリー形式での宿泊提供も可能です。
事業としての安定性
営業日数の制限がないため、長期的な視点での事業計画が立てやすいと言えます。

旅館業法(簡易宿所)の許可取得、何が必要?

簡易宿所の許可を取得するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。ただし、これらの要件は、建築基準法、消防法、都市計画法など、多くの関連法規と深く関わっており、決して簡単なものではありません。

施設の構造設備に関する基準
・十分な換気、採光
・適切な広さの客室
・消火設備、避難経路の確保
・トイレ・浴室(シャワー室)の設置
営業方法に関する基準
・宿泊者名簿の正確な記帳
・衛生管理の徹底
・料金表示の義務
 立地に関する制限
自治体によっては、住居専用地域や学校・病院の周辺など、特定の区域での旅館業の開設を制限している場合があります。例えば、鎌ケ谷市においても、都市計画法に基づく用途地域によって建築できる建物の種類が定められており、第一種・第二種低層住居専用地域などでは旅館業を営む施設を建築・開設することはできません。事業を検討している物件の所在地がどの用途地域に該当するか、事前に確認することが非常に重要です。

 許可取得までの流れ(簡易宿所の場合)

一般的な許可取得までの流れは以下のようになります。

1.事前相談
計画地の法令上の制限、施設の構造、運営方法などについて、専門家(行政書士)だけでなく、所轄の保健所、消防署、そして市役所の建築指導課など、関係機関に必ず事前相談し、問題点がないか確認しましょう。既存建物の場合は、建築基準法の「用途変更」に該当する可能性があり、大規模な改修が必要になることもあります。
2.物件の確保・改修
許可基準を満たすよう、必要に応じて物件の改修工事を行います。この際、建築確認申請や消防設備の設置工事などが伴う場合があります。
3.必要書類の準備・申請
申請書、施設の平面図、登記事項証明書、住民票、営業施設の構造設備を記した書類、消防法令適合通知書など、多くの書類を準備し、所轄の保健所に申請します。
4.現地調査
保健所の職員による現地調査が行われ、施設の構造設備などが基準を満たしているか確認されます。
5.許可証の交付・営業開始
現地調査などで問題がなければ、許可証が交付され、晴れて営業開始となります。

行政書士に相談するメリット

民泊事業の許可申請は、旅館業法だけでなく、建築基準法、消防法、都市計画法など、多岐にわたる法律や条例が関係するため、非常に複雑です。特に既存建物を簡易宿所として利用する場合、これらの法律への適合が大きなハードルとなることがよくあります。行政書士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

煩雑な書類作成を代行
多数の必要書類の作成・収集を代行し、申請にかかる手間と時間を大幅に削減できます。
法的な適合性を確認
計画段階から法令遵守の観点でアドバイスを提供し、将来的なトラブルを未然に防ぎます。
関係機関との調整
保健所や消防署、建築指導課など、多岐にわたる関係機関とのやり取りをスムーズに進めます。
最新の情報提供
法改正や地域の条例変更など、最新の情報に基づいたサポートを提供します。

民泊事業は、これからの観光需要を考えると非常に魅力的なビジネスです。しかし、成功のためには事前の準備と、法律に基づいた適切な手続きが不可欠です。「民泊を始めたいけど何から手をつけて良いか分からない」「旅館業法の要件が難しくて理解できない」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ当事務所にご相談ください。お客様の状況に合わせて、最適なサポートをご提供いたします。民泊事業の成功に向けて、伊原行政書士事務所のサポートを受けてみませんか?

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